ミスタードーナツの新スローガンが魅力的な理由とは?ブランド価値を高める3つの戦略を解説

ミスタードーナツが新スローガンを刷新!その背景と注目ポイント

2025年3月6日、ダスキンが運営するミスタードーナツは、新たなブランドスローガンとして「いつもあるのに、いつもあたらしい。」を発表しました。このスローガンは、多くのファンが長年親しんできた“ミスド”というブランドに、あらためて新鮮な魅力を与えるメッセージとして注目を集めています。

さらに、ブランドコミュニケーションの核となる新たなコンセプトとして「ミスド集合で」も制定され、テレビCMや店舗のポスター、Web広告などでも展開が始まっています。

一見シンプルなフレーズの裏側には、長年にわたり愛されてきたブランドが今もなお進化し続けるための、緻密なマーケティング戦略が隠されています。本記事では、このスローガンに込められた3つの戦略的要素から、ミスタードーナツのブランディングの巧みさを紐解いていきます。

また、企業や店舗の広報・マーケティング担当者にとっても、自社ブランドにどう新鮮さを取り込むかのヒントになるはずです。時代とともに変化しながらも、軸を失わないブランドづくりの極意を一緒に探っていきましょう。

「いつもあるのに、いつもあたらしい。」に込められたブランドメッセージとは

変わらない価値 vs. 常に新しい体験

ミスタードーナツは、1971年に日本での展開を開始して以来、定番の「ポン・デ・リング」や「オールドファッション」など、世代を超えて愛される商品を提供してきました。新スローガンは、そうした“変わらない価値”を守りながらも、季節限定の新商品や他ブランドとのコラボレーションといった“新しさ”も提供しているという、ブランドの本質を巧みに言語化しています。

この対比が「いつもあるのに、いつもあたらしい。」という一文に凝縮されており、長年のファンにとっても、新規の顧客にとっても共感を得やすいメッセージになっています。

マーケティングの文脈でいえば、「ブランド・ポジショニングの明確化」に成功している好例といえるでしょう。スターバックスの「サードプレイス」やユニクロの「LifeWear」に相当する、ブランド哲学を体現したキーフレーズです。

「飽きない」ブランドは、こうしてつくられる

リピーターにとって重要なのは「安心感」、そして飽きさせない「新鮮さ」です。ミスタードーナツは、「変わらない中での進化」を打ち出すことで、“飽きられない老舗ブランド”としての地位を確立しています。

たとえば、季節限定の「misdo meets」シリーズや、SNSで話題になるようなビジュアル重視の新商品など、顧客の期待に応える仕掛けが随所に見られます。

🟦歴代スローガンの変遷とその時代背景

  • 1990年代:「いいことあるぞ〜ミスタードーナツ」
    → 明るくポジティブなメッセージで家族層に訴求。
  • 2000年代:「おいしさとやさしさを」
    → 食の安全・品質志向の高まりに対応。
  • 2020年代:「いつもあるのに、いつもあたらしい。」
    → リピーター心理に対応した進化型スローガン。

新コミュニケーションコンセプト「ミスド集合で」が生む共感とつながり

「ミスド=集まる場所」へのリブランディング

「ミスド集合で」というコンセプトは、単なる言葉遊びではありません。友人、家族、同僚と“誰かと一緒に過ごす場所”としてのミスタードーナツの存在価値を改めて提示しています。

コロナ禍を経てリアルな「つながり」や「集まり」の大切さが見直されている今、ブランドとして“集合”を提案する姿勢は、時代性を捉えた施策と言えるでしょう。

SNS時代における共体験・共感の価値

「ミスド集合で」という表現は、ユーザー同士の“共体験”を促進し、SNS上でのハッシュタグ投稿や写真共有を通じた自然な拡散が期待できます。

実際に「#ミスド集合で」「#ミスドタイム」といったタグで、多くの共感的なUGC(ユーザー生成コンテンツ)が投稿されています。

🟦CMやキャンペーンに見る「ミスド集合」の表現力

新CMでは、学生・ビジネスパーソン・家族など、多様な人々が“ミスドに集う”様子を描写し、「つながり」を大切にするブランド像を強調しています。視聴者の共感を得やすいストーリー仕立てとなっており、共体験の価値を直感的に伝えています。

全社を巻き込んだ一貫性あるブランド戦略が価値を底上げする

顧客体験の接点すべてに「ブランドらしさ」を反映

商品、接客、店舗デザインに至るまで「ミスタードーナツらしさ」が統一されていることで、ユーザーはブランドに対する信頼と愛着を自然と育みます。

ダスキン全体の企業理念との接続で生まれる説得力

ダスキンは創業時から「喜びのタネまき」を理念の根幹に据えていますが、その理念との連動により、単なるスローガンではなく、企業の哲学や価値観が滲み出たメッセージになっています。

他事業(清掃・介護)にも共通する「人に寄り添う」姿勢が、このブランド戦略をより説得力あるものにしているのです。

まとめ:「スローガン刷新」は単なる言い換えではない
ミスタードーナツの進化に学ぶブランド戦略の本質

「いつもあるのに、いつもあたらしい。」は、長年のブランド価値を損なわずに“時代の新しさ”を取り込む戦略的なメッセージです。

安心感と新しさのバランス、SNSとの親和性、企業理念との一貫性――これらの要素がブランドの価値を一段と高めています。

他業種のマーケティング担当者にとっても、「変わらない強み」と「時代に合わせた新しさ」をどう両立させるかという課題へのヒントが満載です。

あなたのブランドにも、「いつもあるのに、いつもあたらしい」と言われる要素はあるでしょうか? それは、商品か、接客か、ストーリーか。今一度、自社のブランド価値を見直すきっかけにしていただければ幸いです。