朝昼夜すべて0円!?カフェヨシノの“常識破り”でお客様の心をつかむマーケティング戦略

1. カレーまで無料にして利益は大丈夫!? 話題の「カフェヨシノ」とは
「朝はトースト、昼はスイーツ、夜はカレー——それが全部0円!?」
そんな“常識破り”のサービスを提供しているのが、愛知県を中心に展開する喫茶チェーン「カフェヨシノ」です。モーニング文化が根強い愛知では、朝食に無料のトーストやゆで卵が付くのは珍しくありません。しかし、カフェヨシノはその一歩先を行きます。
驚くべきは、モーニングだけでなく、昼にも夜にも「無料サービス」が付くという点。なんと夜には、ドリンクを注文するだけでカレーまで無料で提供されるのです。
「そんなことをして赤字にならないのか?」と疑問に思う方も多いはず。しかし、そこにはしっかりとしたマーケティング戦略とビジネスモデルが隠されているのです。
2. なぜ“朝昼夜すべて0円”を実現できるのか?
カフェヨシノの「0円サービス」は、以下のような構成になっています:
- モーニングサービス(開店〜11時): ドリンク注文でトーストやゆで卵などが無料
- アフタヌーンサービス(14時〜17時): ドリンク注文で看板メニューのシフォンケーキなどが無料
- ファイナルサービス(17時以降): ドリンク注文でミニカレーが無料
一見すると太っ腹なサービスに見えますが、これは単なる“バラマキ”ではありません。注目すべきは、「0円」はあくまで“付加価値”の提供であり、主力はドリンクなどの注文商品であるという点です。
さらに、カフェヨシノでは以下のようなビジネス的裏付けが機能しています。
- 原価の安いパンやカレーを活用し、提供コストを抑える
- 無料サービスによって来店数が増加 → 回転率の向上
- ドリンク単価で利益を確保し、トータルで黒字化するモデル
つまり、「無料サービス」は一見コストのように見えて、実は全体の利益構造を成立させる要なのです。
3. カフェヨシノが仕掛けた“常識破り”のマーケティング戦略
3-1. 「無料」で集客 → 滞在時間と注文単価を最大化
「0円サービス」があると聞けば、一度は足を運んでみたくなるものです。実際、無料のカレーを求めて夜の時間帯にも多くの来店があるそうです。
そしてカフェヨシノの戦略は、「無料で呼び込み、追加注文で売上を立てる」という極めてシンプルかつ効果的なもの。滞在時間が長く、会話や読書を楽しむ文化が根付く喫茶店において、ドリンクやデザートの追加注文が自然と増える設計になっています。
特に夜は、無料のカレーを食べたあとに「せっかくならもう一杯」「デザートも頼もうかな」となるケースも多く、客単価の上昇に繋がっているのです。
3-2. 競合との差別化とリピート率アップ
愛知県は“モーニング激戦区”としても有名で、多くの喫茶店が朝の時間帯にサービスを競っています。そんな中、カフェヨシノは「昼・夜」にも無料サービスを展開することで、他店と明確に差別化しています。
「どの時間に行ってもお得」という体験は、ユーザーの来店習慣を生みやすく、「また行こう」という心理を強く後押しします。これがリピーターを生み、地域に根付いたファンベースを育てているのです。
また、近隣住民を中心に、“高頻度来店型”のロイヤルカスタマーが多く、コストパフォーマンスだけでなく、安心感や親しみといった情緒的価値も提供しています。
3-3. 口コミとSNSで勝手に広がる「話題性」
「夜にカレーが無料!?」というサービスは、思わず誰かに話したくなる話題です。実際、SNSでは「ヨシノのカレーすごい」「夜行ったら得した気分!」といった投稿が多く見られ、広告費をかけずとも自然と認知が広がる仕組みになっています。
このように、サービスそのものが“シェアされる前提”で設計されている点も、現代のマーケティングとして非常に洗練されています。
4. 経営者が学ぶべき0円戦略からの応用ポイント
カフェヨシノの取り組みから学べる最大のポイントは、「無料=安売り」ではなく、「無料=価値を伝える手段」であるということです。
重要なのは、次の3点です:
- 無料サービスはあくまで「フック(きっかけ)」
→ 本命商品や体験への入り口として設計することが鍵。 - 原価・導線・収益構造の「見える化」
→ 安易なバラマキではなく、収支のバランスを緻密に計算する。 - 感情・習慣・共有の「3つのトリガー」を設ける
→ 得した気分(感情)、毎日通いたくなる(習慣)、誰かに言いたくなる(共有)という要素が揃うと、ブランドは自然と育つ。
この考え方は、飲食店に限らず、あらゆるサービス業に応用が可能です。
5. まとめ:サービス過多の時代にこそ「記憶に残る無料」が効く
今やどの店も「お得」「安い」「ポイント」など、似たようなサービスを提供しています。そんな中、カフェヨシノの「朝昼夜0円サービス」は、“体験としての記憶に残る無料”を実現した好例と言えるでしょう。
「無料」は目的ではなく、顧客との関係を築く手段。それを理解し、顧客の心に残る体験を設計することが、これからの集客・ブランディングの鍵となります。
あなたのビジネスにも、「誰かに話したくなる無料」は仕込めるはず。
今一度、自社サービスの“付加価値”を見直してみてはいかがでしょうか。